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「風の盆恋歌」

今回のこの一冊は、実は30年ほど前に書かれたものです

著者は直木賞作家の 髙橋 治氏 (1983年「秘伝」で受賞)

作品は、男と女の恋の物語なのですが、

風の盆にぞっこん惚れ込んでいる作者が、富山県は越中八尾のおわら風の盆という祭りに焦点を合わせ、

男女のあやうい恋の旅路を描いたものである

たとえば神通川からの目に映るすべてのもの、山・川・家・ぼんぼり・木々・花・道・空・音・人・光・・・

それらの描写、表現がとても美しいとわたしは感じます  

髙橋氏の言の葉が紡ぎ出すおわらとそれを取りまく風景が、静かに幽玄的で神々しく心と身体に沁みわたるのです

哀愁を帯びた胡弓と三味線の音色に越中おわら節の哀切感に満ちた唄、優美な女踊りと勇壮な男踊り、

忘れかけている日本の美意識がそこにあるような気がする

男と女の恋の話よりも、むしろおわらの踊りと音に共感し魅せられた思いが強い

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実は今年の9月3日、私はこの地に立っていたのよ、この八尾に 

小説と異なることはね、雨が少しでも降れば踊らないこと 

小説のなかではちゃんと踊っているのに・・・

来年リベンジね
2013.09.26 / Top↑
篠田節子著 『ブラックボックス』

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読み終えて背筋がゾクッとする恐怖感がありました。

例えば、店頭に一束148円の山形産のホウレンソウと98円の福島産のホウレンソウが並んでいたとするなら
どっちを購入するか。
知らず知らずのうちに地元産のに手が伸びている。
でも地元のは本当に安全なんですか。
村山ではこの春、村山産の山菜に濃度の高いセシウムが検出されました。
県内のあちらこちらでも検出されていました。
魚・野菜・くだもの・肉・私達が口に入れる全ての物が「安全」である保障などどこにもないことに改めて気付かされるのです。それでも私達は何かを食べ生きていかなければならない。

この本は、フィクションなんだけれどとてもフィクションとは思えない現実味をおびている内容でした。
どこかのサラダ工場で、あるいはどこかの大規模農場で、あるいはどこかの学校給食の現場で、実際起こっていることなのでなないだろうかと思ってしまいます。

例えばコンビニのフレッシュサラダ。何故あんなにパリパリの食感なのか、どうしていつまでもシナッとならないのか、あの甘味成分のようなのを舌に感じるのは何?、いつまでも腐らないパリ感を保持するために何か特殊な液体のようなものを振りかけてあるのではないのか。
おにぎりもそうだと思う。腐らないおにぎり。不思議なおにぎりだといつも思ってた。

本の中の企業・会社は、人間の身体に悪影響を及ぼすかもしれない危険性を認識しつつも、己の損得を一番に考える。まさにいまの原発などと似かよっているのではないのか。
今は大丈夫かもしれない、でも今後そうとは限らない。

一応キッチンに立つ身の私として、じゃ家族達(もちろん自分も)に一体何を食べさせたらいいのものか、、
現段階では、よりこれなら大丈夫というものを多く取り入れることくらいしか私にはできない。
とおもう。
皆さまはどう考えますか。
2013.07.14 / Top↑
しばらくぶりの ひらめ です。

ここ山形は18日が入梅ということで、昨年より9日遅い入梅とのことです。
最近晴れの暑い日が続いていたのでカラ梅雨かなと思っていたら、いきなり雨が来ました。
でも先日の雨は、梅雨前線が原因ではなかったという話だったのですが、、、
いったいどうなっているのやら、、、、

さて、最近の読書でハマっている作家は「辻内智貴」さんです。ミュージシャンとして名の知れた方なのだそうですが、その音楽でちょっとしたつまずきがあった時に、猛烈にものがたりを書きたくなったのだそうです。
今はそんなにたくさんの本を発表されていませんが、30代後半に熱病に罹ったごとく筆を走らせたという素敵な小説たちに出会えたのです。
私はつい最近まで作家の辻内智貴さんを知りませんでしたが、映画「セイジー陸の魚」を見てから彼の魅力にハマってしまいました。辻内さんの本は、街の本屋さんではなかなか見つからないので、ネットショップで求めています。

まず最初に読んだのは、もちろん「セイジ」でした。それから「青空のルーレット」「ラストシネマ」「信さん」「野の風」「僕はただ青空の下で人生の話をしたいだけ」と、立て続けに辻内ワールドにハマりました。
その途中でベストセラー村上春樹氏の「色彩を持たない・・・」も読んではみましたが、、、、

辻内さんの作品は、どれもみな眩しいほどの夏の青空が作中に出てきます。いろいろな人生模様の場面で青空が登場し、清々しさを感じさせたり寂しさを感じさせたりして、様々な青空を魅せてくれます。ゆっくりしたペースでのどかに進んでいくストーリーのなかに、突然血なまぐさい場面なども登場しますが、何と言っても読んでいて涙が一筋頬をつたい、心のひだまでもが震えてしまうような寂寥感を味わわずにはいられなくなってしまいます。

私はどの作品も好きですが、「僕はただ・・・」のなかの「記憶」や「野の風」のなかの「帰郷・花」という小編がものすごく好きです。もっと読みたいと思うのですが、辻内さんの作品は多くないのです。

だからということでもありませんが、読み返しては心に穏やか風を感じております、、、、、

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2013.06.24 / Top↑
蓮池 薫 著 『拉致と決断』 新潮社

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北朝鮮から拉致され、24年間という長い管理下での歳月を経て、ついに2002年10月15日帰国した夫妻。
蓮池夫妻が帰国してから、残してきた二人の子供が帰国するまでさらに1年半。
子供達が帰国してから、もうすぐ9年になろうとしている。

~紆余曲折はあるにせよ、時たま見せる輝いた目と希望に満ちた笑顔が、あの日の決断が間違っていなかったことを物語ってくれていると、私は信じたい~

~何よりも日本に残るという決断が正しかったという確信が必要だった。それには子供達が意欲を持って自立の道を歩み出すことが最低条件だった~

この確信を得たからこそ、彼はこの本を執筆することができたし、出版という形で北朝鮮での24年間全体に真正面から向き合えるようになったという。
私達には想像すらできない北朝鮮での暮らしや思いだけでなく、朝鮮市民のあからさまな生活の場、彼らの複雑な思いや不安などなど、知られざる世界を知ることとなった。

相も変わらず毎日のように論争の火種を造り世界中を騒がしている北朝鮮。大々的に取り上げられる話題ではあるが、それはTVやマスコミで知るこの国のほんの一握りのできごとでもあるのだとこの本を手に取り感じる。

それにしても拉致の真実が明らかになる日が果たしてくるのだろうか。
2013.03.20 / Top↑
2冊続けて、また貫井氏を読み終えました。

「新月譚」は、もって生まれた自分の顔を整形して、新しい自分として生きてゆく主人公の話。
「微笑む人」は、エリート銀行マンが妻子を殺すという事件に興味をもった、小説家の物語。

新月譚で直木賞にノミネートされながら、惜しくも大賞受賞できなかった貫井氏。
微笑む人、最新書かれたこの本で是非とも直木賞に輝いて欲しいと思う。

個人的には微笑む人の方がおもしろかった。
彼自身、「ぼくのミステリーの最高到達点です」と自負してるくらいだから
これ以上のミステリーは無二なんだろうとも思った。

これを読む少し前に「後悔と真実の色」も読んだ。
これは第23回山本周五郎賞を受賞している作品で刑事ものだった。
犯人と警察官の執念の攻防は鬼気迫るものがあり、なかなかおもしろかった。

でもわたしは、ハードボイルドや恋愛ものの作品よりも、人間の奥深いこころの部分を
様々な角度から表現する作品の方が好きだ。
読み手の感性や感覚、思いにゆだねてしまう作者の意図することは一体何か?
貫井氏の考えさせられる作品に、また出会った気がする。
2012.12.19 / Top↑